先日下北沢にある某ライブハウスに行きました。

久しぶりにライブハウスに足を運んだのですが、大きなストレスを感じました。
具体的に言うと、
・ほぼオールスタンディング(イスが隅っこに4,5個しかない)なのに休憩するスペースがない。
・転換中にアーティストとオペレーターがPA使ってあーだこーだやり取りしてる。みっともない。
・一つしかないドリンクカウンターに長蛇の列が並んでいる。
・(ライブハウスでは当たり前の事だとは思いますが)分煙されてない。タバコの煙で視界が不鮮明になる位。
・(個人的な不満ですが)音響と照明(特に音響)がしっかりしていない。音にこだわりを微塵も感じない。
上記の点全て「お客さんの事を全く考えてない」という事が共通しています。
逆に言えば、このライブハウスにとってのお客さんはアーティストなのでしょう。
東京には「ライブハウス」という名目の「レンタルホール」が多い気がします。
「レンタルホール」ならば所有者と出演者のBtoBの関係なのでサービスについての言論の余地はありません。出演者がお客さんの事を考えていないホールを借りなければいいだけです。
しかし「ライブハウス」がサービスを提供する場所ならば、特に先ほど挙げた問題は解消しなければいけないと思います。
自分だったらこの問題をこう解消します。
・ほぼオールスタンディング(イスが隅っこに4,5個しかない)なのに休憩するスペースがない。
→予想できるキャパシティ(来場者数)に見合う休憩するスペースを確保する、ないしは来場者がスタンディングかシッティングを選択できる様にする。
一つのステージ、約30分、転換約15分、5組が出演したとしたら計約210分。3時間半ずっと立って見てられますか?僕だったら耐えられません。わざわざ時間とお金を割いて来場してくれるお客さんの休憩するスペースを確保していないという事はあってはいけないと思います。
その事からライブハウスは来客者を引き留める努力をしていないという事も露呈しています。それはライブハウスにとっても出演者にとってもメリットは無いのではないでしょうか。
休憩する場所がなければホールのキャパシティを増やせるかもしれませんが、即時的な効果はあるにせよ来場者のリピートは見込めない思います。僕は先日行ったライブハウスには恐らく特殊な事情がない限り行かないと思います。
・転換中にアーティストとオペレーターがPA使ってあーだこーだやり取りしてる。みっともない。
→オンとオフ(上演中と準備)にメリハリをつける。
ライブは音楽コンテンツによるショーだと考えるのは僕だけではないと思います。例えばミュージカルや舞台の開幕前、出演者とオペレーターやスタッフが口論してたらどう思うでしょうか?幻滅しますよね。
ステージに幕がないライブハウスが多いと思いますが個人的にナンセンスだと思います。(出演者がセッティングする姿を見る事は結構好きなのですが、転換作業を見せる/見せないという選択肢が無いのは思慮が浅いなと思ってしまいます。)
・転換中に一つしかないドリンクカウンターに長蛇の列が並んでいる。
→ドリンクカウンターのスペースを広めに確保する。ドリンクスタッフを増やす。
ドリンクを提供するスタッフが一人というライブハウスは多いと思います。人件費等ライブハウス側に事情があるのだと思いますが、まともなサービス提供をしているとは思いません。僕は並ぶのが面倒で結局ドリンクチケットを使わずに帰りました。
入場する際に入場料(ミュージックチャージの事を言っているのでしょうか。入場料という言い方もお金に見合うだけの入場する「場所」を提供しているのかと言いたくなってしまいます。)に加えてドリンク代を徴収しているライブハウスが多数派です。その半数以上がドリンク代¥500円でしょうか。そこで提供されるドリンクはコンビニで買えば¥100くらいでしょう。ファミレスのドリンクバーに設置されているようなドリンクサーバーが置いてあるところもあります。原価数円程でしょう。
ではなんで¥500という高額な金額を要求しているのでしょうか。間違いなく「お金儲け」の為ですね。¥500の価値に見合うサービスを提供しているドリンクカウンターは少ないです。
・(ライブハウスでは当たり前の事だとは思いますが)分煙されてない。タバコの煙で視界が不鮮明になる位。
→分煙する。(ホールは禁煙)
自分は喫煙者なので嫌煙者の気持ちは分かりかねますが、きっと地獄だと思います。もうこのご時世で(時代だからと理由づけるつもりはありませんが)サービスを提供している場所で分煙されていない事は問題に思うべきだと思います。
僕の友人にもタバコの煙が嫌いだからライブハウスが嫌いという人が沢山います。これも先ほど言ったキャパシティを増やす為なのでしょうか。信じられません。
・(個人的な不満ですが)音響と照明(特に音響)がしっかりしていない。音にこだわりを微塵も感じない。
→音にライブハウスのオリジナリティを出す。
特に大きな音量を出すライブハウスでは「とにかくデッド!(残響を無くす)」という風潮を感じます。デッドにするならば良質な響きをPAするのが普通ではないでしょうか。その響きに拘りを感じられるライブハウスは少ないです。高いレベルで個性的な音響を提供できるライブハウスが増えればなと願わずにはいられません。
もし高いレベルで個性的な音響を提供できるライブハウスならば、出演者が自分の音楽性にマッチするそのライブハウスを選択し、歴史を共にして愛着を持たせる事ができると思います。その出演者のファンもそのライブハウスに愛着を持たせられるではないでしょうか。
僕は時々西麻布にあるライブバーに行きます。そこはコンクリート打ちっぱなし(それが意図されているものなのかは分かりかねますが)なのですが、それによる硬質な残響感が大好きです。場所がそこまで広くないので音量は一般的なライブハウスより小さく、PAレベルと楽器のダイレクト音がいい具合に合わさった感じにも好印象を抱きます。個人的な事を言えば大音量で聴くと疲れるのでそもそもライブハウスはあまり好きではないのですが。笑
また一般的な大音量のライブハウスでは歌詞のディテールは絶対に聴き取れません。それはもう諦める事なのかなと思っていますが、出演するライブハウスのPAの方とリハーサルで打ち合わせする努力はしています。たまに歌声が完全に楽器化(音韻情報しかない)しているバンドを見かけますが、果たしてそのバンドはライブハウスで歌詞を伝えたいとう気持ちはないのでしょうか?
バンドサウンドの迫力と演奏する音楽の伝えたいディテールを表現する事のバランスをとるのは技術的に難しく、自分のバンドでも問題意識を持っています。。
また、ライブハウスの問題の一つに「出演者のチケットノルマ制度」というものがあります。
この事は少し前にTwitterで多くの議論が重ねられました。
自分が思うに一般的なライブハウス(都内、キャパシティ:オールスタンディングで150人~300人程)だと、ノルマ(¥20000~¥30000程、多いところだと¥40000近くにもなります)に加えて、ノルマ以降分は売上折半。(ライブハウスと出演者との割合が50:50が多いと思いますが、出演者の方がパーセンテージが多い所は少ないです)
さらに機材使用料(¥3000~¥5000程でしょうか)を徴収するライブハウスも多数派です。(僕はノルマというものは採算をとる為のもので、機材維持費が分離している事に理解しかねます。)
例えばノルマ¥20000、ノルマ以降売上は50:50で折半、機材使用料¥3000、チケット代が¥2000だとしたら(これは比較的良い条件だと思います。)13人集客してやっと出演者は採算ラインに乗ります。もし5人しかお客さんが来なかったらバンドメンバーでライブハウスに¥13000支払います。
話を進めると、例えば5人バンドだと23人集客してメンバー一人当たり¥2000の儲けです。音楽スタジオでライブハウスへの出演の為のリハーサルに一人当たり¥2000程の出費があります。それだけではなくメンバーの打ち合わせや交通費等出費する局面は多いです。
また、チケット代¥2000で23人をコンスタントに集客する事は一般的にアマチュアで活動するミュージシャンにとって高いハードルです。これではビジネスどころかお小遣いにもなりません。
Twitter上で交わされた議論というのは専ら「ライブハウスはアーティストを食い物にしている」「ライブハウスは出演者ではなく来場者との間でビジネスするのではないか」というものでした。
これに対して海保けんたろうさん(@Kentaro_Kaiho )のブログで深い考察がされています。
→http://ameblo.jp/kkaiho/entry-11046877688.html
僕が注目したいのは「ノルマの存在意義」です。
出演者に集客力がなかったらライブハウスは時間とお金(土地代、人件費、設備維持費、その他諸々)を失ってしまいます。それではライブハウス営業を続ける事ができません。
そこで集客力が無いバンドにはチケットノルマを課す事でライブハウスの採算ラインを確保します。
逆に言えば集客力があるバンドにノルマを課す必要はないのです。
ライブハウスが採算ラインを確保しつつ、出演者とwin-winの関係を気付ける合理的な方法として、
仮にチケット代¥2000、採算ラインを¥20000と設定します。売上を全て出演者とライブハウスで折半します。50:50としましょう。
もし20人集客できたら¥2000×20人×50%=¥20000の収益でライブハウスは採算ラインに乗る事ができ、出演者も纏まった活動費が入ります。20人以上集客できたら比例的にライブハウスも出演者も収益が増え、win-winの関係を気付けます。
もし10人しか集客できなかったら¥2000×10人×50%=¥10000でライブハウスは採算ラインに乗る事ができません。
その場合は出演者がライブハウスに採算ラインに対する赤字分¥10000を納めます。
集客する責任が出演者にあるという条件ならばこれが一番理想的ではないでしょうか?
もし自分がライブハウスを経営していたらこういうシステムをとります。儲けを追求するならば自分のライブハウスでも集客する努力をします。それは出演者にもメリットがあります。
ライブハウスに対する問題意識は以前からあり、それをまとめたら長くなってしまいました。
後半は数字が沢山でてきて見辛かったと思いますが最後まで見てくださって有り難うございました。
自分はライブスペースを作るという一つの目標があります。もっとライブスペースについて考察していつか素敵な音楽空間を提供したいと思っています。
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國本怜
慶応大学文学部二年
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